はり治療が効くしくみ

図-経絡なぜ「はり治療が効く」と言われるのでしょう?

髪の毛ほどの細い、金属の「はり」で身体のツボを刺激するだけで、いろんな症状が改善してしまう。そのしくみを解説します。

人間の身体には、微弱な電気信号が流れています。そして金属は電気を通します。はり治療が効くのは、「はり」が金属であるために、身体のツボに「はり」が接触することによって身体に流れている微弱な電気信号を変えてしまうからだといわれています。

これによって血流の状態が変わり全身に影響がでてきます。

金属で身体の微弱な電流を変化させる

人間の身体には目に見えない様々な機能が備わっているのです。

たとえば「経絡」という身体にエネルギーを回すためにくまなく回っているルートも目に見えませんし、「はり」をうつ「ツボ」も目には見えません。よく、「元気」「気力」とかいう言葉でも使われる、生命エネルギーをあらわす「気」も目に見えることはありません。

しかし、確かに存在するものです。

「はり治療」は「はりという金属」を使って身体の微弱な電流を変化させ、身体の生命エネルギー(気)を動かすことによって、血流の状態を良くし、自然治癒力を高め、自分の力で病を治す方法です。はり治療が「効いた!」というのはあなたの自然治癒力が高まって自分の力で症状を改善してくれたから、「効いた」と実感できるのですね。

正しい「ツボ」にはりをすることが必要

ところが、ただやみくもに「はり」をしても、身体の自然治癒力はあがりません。
身体の自然治癒力を高めるために効果的に「はり」を効かせるためには、正しい「ツボ」に「はり」をすることが必要です。

この「ツボ」は目に見えないので現在の科学では解明することはできませんが、どのツボに「はり」をすればいいのか?は過去何千年の歴史の積み重ねによって、経験的にわかっています。

鍼灸師は、うまくこのツボを選んで「はり」をします。

そして、自然治癒力を高める手助けを行い、あなたの自然治癒力が勝手に症状を改善してくれます。

ツボとは

写真-ツボイメージ「身体の表面に現れる反応点」のこと

ツボは、生命エネルギーである「気と血」の通り道である「経絡(けいらく)」上にあって、気血が出入りしたり、経絡が合流したり、分岐したりする経絡上の重要なポイントになっています。

ちょうど経絡を電車のライン、気血を電車、そしてツボ(経穴)を駅に例えるとイメージしやすいかもしれません。

ツボは気血が滞りやすい場所でもあるのです。気血が滞ってしまったら、身体がスムーズに動くことができなくなってしまい、不調を感じやすくなります。

急行などで人が多く乗ってくる駅や、他線と乗り換えのある駅は何かしらのトラブルや、遅れることも多いものです。

鍼灸師が実践で使うツボは70個前後

現在、WHO(世界保健機関)が認めている経穴の数は361個ですが、鍼灸師が実践で使うツボは70個前後のものです。ちょうど急行停車駅のような大きな駅に該当するのがこの鍼灸師が実践的に使用する「ツボ」なのです。

ツボにはりでもお灸でも指圧でも、何かしらの刺激を加えると、気血の滞りが改善され経絡を気血がスムーズに流れていき、身体の不調が改善されます。

ツボとはこのように、身体のエネルギーがスムーズに全身を巡っていませんよ、この滞っているところを取ってあげればまたエネルギーが流れていきますよ、と教えてくれている大事なポイントなのです。

経絡(けいらく)とは

イラスト-経絡日本全国を様々な電車の線が通っているように、身体のすみずみまで、人が生きるために必要な、生命エネルギーである「気」や「血」を流す「身体のエネルギーライン」が経絡です。

経絡には12の「正経」と8の「奇経」があります。

「正経」はメイン線です。東急線で言えば東横線とか、田園都市線なんかが該当するでしょうか。重要なツボ(駅)もたくさんあり、とても重要な線です。
「奇経」は支線、サブ的な線です。世田谷線やこどもの国線などがイメージしやすいかもしれません。

人間の身体の至る所をこのような「経絡」がめぐり、くまなく生命エネルギーを循環する橋渡しをしているのです。

お灸、指圧、気功との違いは

病の根本を治す「本治法」は必ず「はり」

イラスト-はりは正確どんな療法でも自然治癒力を高めるという目的は一緒です。

しかし、当院での「はり」は脈の状態を変化させることにより全身の状態を高める目的もあって病の根本を治す「本治法」は必ず「はり」を使用しています。

「はり」でないといけない理由・・それは、脈の状態を変え全身の機能を高めるためには、正確なツボにはりをする必要があります。正確なツボはとても的の小さいものです。的確に的を刺激できる「はり」の方を使っています。また「はり」が金属であるので脈への影響も大きく、身体の状態を一瞬にして変化させる役割を持っているからです。

お灸を使う理由

写真-お灸当院ではお灸も頻繁に使用しますが、「はり」とはまた別の目的で使っています。

「はり」は全身の血流・脈を一瞬で変えることができますが、お灸は比較的効果がでるのがゆっくりと、しかし持続的にでてきます。

心地よい温熱刺激により患部を温めたり、ほぐしたりするのもお灸ならではのものです。もぐさのかおりにより、精神を癒すアロマ効果もあります。

また、もぐさに火をつけ燃焼させることにより白血球が付近に集まってくる効果もあることが研究で明らかになっています。

免疫力を高め、血流を促し、さらにリラックス効果もあるお灸は、当院では主に患部の張りが広い時ほぐす役割や、足の冷えを緩和させたり、生理痛など、女性特有のお悩みを改善したりする場合など、様々な理由でお灸を使用しております。

指圧、マッサージとの違いは

写真-マッサージイメージ指圧やマッサージは、指先での押圧によりツボやコリを刺激して血液やリンパの循環を促し、新陳代謝を活発にして免疫力を高める方法です。

コリを指でほぐすことにより、押圧される気持ちよさと、リラクゼーション効果が高いので、精神的な安定感を促す意味でもとても効果があります。

しかしながら、指圧は「はり」のように金属でないので身体の状態を変えるのに即効性がないことと、指先というのは範囲が広いので、ツボのような小さな的にはおおざっぱにしか対応しにくい面があります。

また、一つのツボを押したからといって全身に変化がでるわけではなく、使用するツボやマッサージする範囲も必然的に広範囲になり、効果を実感するにはそれなりの施術時間が必要になる方法です。終わった後のスッキリ感は何者にも代えがたいものがありますが、皮膚の上から押圧するので身体の内部まではそこまで影響せず、持続性は今ひとつ、症状のひどい方はすぐ戻ってしまうことも少なくありません。

当院の患者様もマッサージが大好きな方も多くいらっしゃいますし、家庭でのコミニュケーション手段としてもすごく良い方法ですので、はりをしておけば後でマッサージを受けたとしてもより持続性が高まり、おすすめの方法です。

刺激量を調節しながら治療をいたしますので、ご相談ください。

気功との違いは

図-気功気功も、当院で行うはりきゅうも「気の調整」という面では似たようなものがあるのかもしれませんが、最大の違いは、はりきゅうは身体に直接治療をするのに対して気功の場合は「遠隔療法」というものが存在するほど、身体に直接触れるようなことはありません。

気功の治療目標は身体の内部というよりは身体とそれを取り巻く宇宙エネルギーの関係を調整しているようです。

また、外気功の場合は気功師の先生が自分のエネルギーである気を受け手に送るので自身が消耗することが多いようです。

当院の「はり治療」は気血の調整が目的ではありますが、はりを使って患者さんのもともと持っている気や血を調整する方法になり、自分の持っているエネルギーを患者さんに分け与えることはありません。ですので鍼灸師が消耗することは、ありません。

また、はりきゅうは国家資格ですが、気功は資格があったとしても民間資格になります。

医療に関する国家資格を持っていなければ「治療」とうたうことはできませんので、厳密にいえば気功で病が良くなることがあっても「気功治療」という表現は的確ではないと言えます。整体も国家資格ではありませんので、同じようなことが言えます。

「はりきゅう」は国家資格者のみが施術を許されている医業類似行為です。はりきゅうは「治療」なのです。


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